Oculus Rift 専用 2D 動画再生ソフト Kaleido Player

※DK2 に対応した最新版は、
http://ux.getuploader.com/fai_fx/download/366/KaleidoPlayerDK2_beta7.zip
からダウンロード出来ます。



この記事はOculus Rift Advent Calendarの24日目です。
こんにちは。12/24 担当の fai です。

■はじめに
いよいよクリスマスですね。
先人の知恵を活かして、Oculus Rift + Unity でクリスマスの世界に嫁を召喚する…のも素晴らしいのですが、
そんな時間も無い人(=私)のために、2D の動画(過去の資産)を OculusRift ならではの楽しみ方ができる動画再生ソフトを作ってみました。

既に Rift用の動画再生ソフト がいくつかありますが、複数の動画ファイルを順番に再生する機能がありません。
(Stereoscopic Playerのビデオライブラリ機能で連続再生可能ですが、初回再生時に条件設定をする必要があって使いにくい..)
この点だけでもどうにかしたいと思ったのが自作のきっかけです。


■自作の手順
動画再生ソフト自体は、Unity + 有料アセットで簡単にできるので省略します。自作したい人はリンク先を参考にしてください。


■工夫して便利だったこと(開発者向け)
(1) 操作説明パネル
凝ったGUIを作る余裕が無かったので、必要な機能を全て XBOX コントローラのボタンに割当てました。
その結果、一度に覚える(思い出す)のが困難な操作系になってしまったので、忘れても大丈夫なようにRift内に画像で表示させるようにしました。

VRGUIで画像を出すだけなので実装が簡単な割に、地味に便利です。



(2) 現在時刻表示
動画鑑賞に没頭していると、たまに気になるのが現在の時刻です。
その度にRiftを外すのは面倒なので、画面内に時計を表示できるようにしてみました。

↑緑文字が時刻
環境再現系アプリや○○添い寝のような長時間装着が前提となるアプリには、時計機能の実装がユーザに喜ばれると思います。




■没入感の工夫
ここからが本題です。

2D の動画を鑑賞する際の没入感を向上させるために以下のような考察をしました。

図1
HMDで動画を観ると、暗闇の中に四角のスクリーンがある状態になります。
この場合、スクリーンの四角いフレームを境界として、暗闇側(=現実)の世界と、スクリーン内側の世界が別々の世界であると脳内で認識されます。これをフレーム効果と呼ぶことにします。
(ちなみに、写真の構図のテクニックのひとつに『額縁効果』という用語があります。これは仕切ることで対象を際立たせることを目的としていますが、こちらとあちらを区切るという意味では同じ効果と言えます。)




図2
Oculus Rift では、視界内がスクリーンで完全に覆われるところまで近づくことができます。
すると、脳内ではあたかもその映像内の空間に居るような錯覚が生じます。

人間の空間認識は、もちろん、両眼視差による奥行き知覚も重要ですが、運動視差や、遠近法、陰影など複数の情報源から総合的に判断されています。
参考:https://www.kitakyu-u.ac.jp/env/research/case/files/P17-18.pdf


日常生活でしばらく片目をつむって生活してみても、立体感が完全に消失することは無いですよね。


むしろ、「視界全体に何が見えているか?」が「自分が何処にいるのか?」の空間認識には重要です。
RICOH THETA のパノラマ画像を Oculus で見ると臨場感を感じるのは、視界がその空間の画像で覆われているからと考えられます。



図3
視界全体を覆うほどスクリーンに近づくと、見える範囲も限られますから、シーン全体の動きがつかめなくなり、あまり楽しめません。
仕方なく、現実的に動画を楽しめる距離まで離れますと、上下に邪魔な部分が見えてしまい、フレーム効果で現実に引き戻されます。



図4
…だったら、邪魔な部分も動画で埋めてしまえば、( ・∀・)イイ!! と考えて、
スクリーンをタイル状に多数並べたり、直方体の内面全てに貼るなど試行錯誤して出来上がったのが、
Kaleido Player です。ダウンロードはこちらからどうぞ。
※DK2 に対応した最新版は、
http://ux.getuploader.com/fai_fx/download/366/KaleidoPlayerDK2_beta7.zip
からダウンロード出来ます。


全方位を動画に囲まれて感じる謎の臨場感は、一度は体験してみて頂きたいです。


鑑賞に適した動画素材は、
MMD動画のような 3D をレンダリングしたもの
・実写(風景、ミュージックビデオ、ドラマ)
・背景が立体的に描かれたアニメ
辺りで、ぶっちゃけ何でも良いのですが、カメラワークが固定かゆっくり動く作品が没入しやすいと思います。

フラッシュカットのように短時間に頻繁に場面が変わる動画はいまいちです。
MMD動画で背景が平面状のイラストだったり、画面全体にポスト・エフェクトが掛かり過ぎたものも適さないようです。
自然風景で森の映像のように木の葉のディテールが要求されるシーンは、解像度の低さがネックになって厳しいです。

パソコンのモニタで見ると平凡だった映像作品が、Kaleido Playerの大画面で見ると印象ががらっと変わることもありますので、是非、いろんな動画を試してみてください。

Oculus Rift Advent Calendar、明日は@heron64さんです。よろしくお願いします。





「Kaleido Player には、座席が無いようだが」
「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ。」